ニュースリリース(詳細)

イーピーエスが機械学習を用いた新たなアウトカムバリデーション手法を開発~AI技術で過適合と外部妥当性の懸念を払拭した新手法!特許出願中!~

2025年7月2日
イーピーエス株式会社

医薬品・医療機器・再生医療等製品開発支援のイーピーエス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:髙井 紀幸、以下「EPS」)は、リアルワールドデータ※1(以下「RWD」)から、機械学習を用いた新たなアウトカム定義※2※3のバリデーション手法※4※5を開発し、特許を出願したことをご報告いたします。
本手法は、これまで懸念されていた、機械学習等で得られたアウトカム定義の過適合※6や外部妥当性の懸念を払しょくしたものとなります。

従来の課題と動向

昨今、行政・臨床現場・アカデミア・産業界においてRWDの活用が広がり、RWDからのエビデンス創出へ期待が高まっています。
しかし、RWDからエビデンスを得るためには、信頼できるアウトカムを用いる必要があり、さらに信頼できるアウトカムを定義するためには、アウトカムの信頼性を確認するバリデーション研究が求められます。

バリデーション研究とは、診断データから疾患を特定するために、診療行為や処方を組み合わせた定義の確からしさを確認するために行う研究です。
評価したい定義が目的とするアウトカムをどの程度正確にとらえているかを、診療記録や手術記録、検査結果、医師による詳細な確認などによって確認するため、医療施設の選定、カルテレビュー、医師の追加の判定などが必要となり、非常に時間とコストがかかる点が課題でした。

そこで、機械学習等の手法を用いて、効率的に信頼できるアウトカムを定義する研究も実施されていますが、従来の成果では過適合や外部妥当性に懸念があり、あまり活用されていません。
また、RWD研究において信頼できるアウトカムを定義する別のアプローチとして、臨床検査値等の客観的指標を用いる方法もありますが、臨床検査値が利用可能なデータベースが日本においては限られているという問題があります。

新手法の概要・効果と今後の展開

EPSは、これらの現状を踏まえ、今まで収集された臨床検査値を基に機械学習等を用いて信頼できるアウトカムを定義する、新たなバリデーション手法を開発しました。

本手法でバリデーションすることにより、臨床検査値を持たないデータベースにおいても、臨床検査値に基づいて決定されたアウトカム定義と同等に利用できることが期待されます。なお本手法により定義された アウトカムは、過適合を防ぎ、かつ、外部妥当性の懸念のない、良好な成績(PPV※7>0.8)を示すことが確認できました。

当社が開発した新たな手法によりアウトカムバリデーションの実施が促進され、価値あるエビデンス創出がより一層加速していくことを期待します。

イーピーエス株式会社について

イーピーエス株式会社は1991年に事業を開始し、治験やPMS※8を中心とした臨床試験および臨床研究を総合的に支援するCRO※9です。臨床試験を推進する機能のすべての入口となる「Trial GATE」というコンセプトに基づき、これまでの豊富な実績で培ったデータサイエンスの専門性とデジタル技術を生かし、顧客ニーズに応える新たなモデルを提案していきます。

【本件に関するお問い合わせ先】

イーピーエス株式会社 広報担当
E-mail:koho@eps.co.jp

※1
リアルワールドデータ:診療記録や保険請求データなど、日常の医療現場で研究利用を目的とせずに収集されたデータ
※2
アウトカム:治療や介入の効果の評価に用いる、症状改善や副作用の発現などの結果指標
※3
アウトカム定義:どのようなデータや条件でアウトカムありとするかを明確に定めたもの
※4
バリデーション:指標やモデルなどが、正しく目的を果たせるかどうかを確認・検証する作業
※5
バリデーション研究:ある指標やアルゴリズムが実際にどの程度正確かどうかを、データを用いて検証する研究
※6
過適合:分析モデルが訓練データにのみ過度に適合し、未知のデータへの汎用性が低下する現象
※7
PPV:Positive Predictive Value(陽性的中率)陽性と判定されたうち、実際に陽性だった割合
※8
PMS:Post Marketing Surveillance(製造販売後調査)
※9
CRO:Contract Research Organization(医薬品開発業務受託機関)