ニュースリリース(詳細)

イーピーエスと広島大学が中高生を対象とした医療専門用語の表現に関する共同研究を開始

2025年6月30日
イーピーエス株式会社

医薬品・医療機器・再生医療等製品開発支援のイーピーエス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:髙井 紀幸、以下「EPS」)は、国立大学法人広島大学(所在地:広島県東広島市、学長:越智 光夫、以下「広島大学」)と共同で、医薬品開発における患者・市民参画(以下「PPI」)活動を推進する上で障壁となっている「専門用語の壁」の解消を目的に、「中高生を対象とした医療専門用語の表現方法に関する研究」を2025年6月より開始したことをお知らせいたします。

患者さんの声を収集し治験に反映することは、治験参加者の負担を軽減し、より参加しやすい治験の実現につながります。
本邦でも「患者の視点を医薬品等の開発に反映する重要性」が各種ガイダンス等に明記され、製薬企業を含むさまざまなステークホルダーがPPI活動を行っております。
その結果、PPIに対する理解や活動が拡大し、患者さんやその家族から声を聴く機会が増え、活動を通じて多くの学びや気付きが得られています。

一方で、治験や医療の現場では依然として専門用語で説明されている資料が多くあり、患者さんがその内容を正しく理解することは容易ではありません。そして、このような状況下で医薬品等の研究開発を進めることは、開発や承認の遅延などさまざまなリスクとなる可能性があります。

そこでEPSは、広島大学 トランスレーショナルリサーチセンターの杉山 大介教授と、製薬企業やアカデミア等が、PPI活動を推進する上で直面している専門用語の壁に起因する課題「医療従事者と患者間での認識ギャップ」や「患者さんの意思決定の妨げ」等の解消を目指す共同研究を開始しました。

研究成果の活用について

本研究の成果は、用語集・表現集としてウェブサイト等で広く一般公開し、将来的な医療現場や治験環境の整備改善に貢献することを目指します。
例えば、医療従事者や治験コーディネーターが治験の説明や結果を患者さん・ご家族に説明する際の参考資料として、また治験や日常診療の場での円滑なコミュニケーションツールとして役立てることを想定しています。

本研究について

本研究は、「医療従事者と患者間での認識ギャップ」や「患者さんの意思決定の妨げ」の解消、さらに医薬品等の開発におけるPPI活動を推進するための医療用語理解促進の基盤づくりを目的としています。

近年、厚生労働省やPMDA、AMEDなどの関連機関は、患者や市民の意見を医薬品開発の各段階に反映することの重要性を強調しており、わかりやすい医療情報の提供が求められています。しかしながら、難解な専門用語が患者・市民参画の障壁となっているのが現状です。

こうした背景を踏まえ、本研究では将来の社会を担う中高生を対象として、「わかりやすさ」に焦点を当てた専門用語の説明手法を検討し、医療・薬学の基礎理解を促進するとともに、国内におけるPPI活動の裾野拡大にも貢献することを目指しています。

研究の進め方

具体的には、広島大学トランスレーショナルリサーチセンターと連携し、学校教育や研究現場で実践的に用いることのできる説明教材やコミュニケーションツールを作成します。
また広島大学附属福山中・高等学校、および広島大学附属中・高等学校と協力し、教育プログラムの運用・評価を通じて、中高生の理解度や学習効果を検証し、ツールの実用性を高めていきます。

研究の進め方

イーピーエスのこれまでの取り組みと今後の展望

イーピーエスは、これまでEPSグループとして培ってきた業務経験や、患者支援団体との協働を通じて、患者・市民の参画を促進するさまざまな取り組みを行ってきました。例えば、治験の理解を深めるための治験啓発動画の無料公開や、患者さんの声を直接伺うワークショップの開催などを実施しています。
今回開始した共同研究は、専門的な知識を持たない一般市民が医薬品等の開発プロセスに参画しやすい環境づくりに貢献するものですが、今後も多様なステークホルダーと連携しながら、これらの活動をさらに発展させ、患者・市民が主体的に医薬品開発に関われる社会づくりに寄与してまいります。

イーピーエス株式会社について

イーピーエス株式会社は1991年に事業を開始し、治験やPMS※1を中心とした臨床試験および臨床研究を総合的に支援するCRO※2です。臨床試験を推進する機能のすべての入口となる「Trial GATE」というコンセプトに基づき、さまざまな領域、フェーズの試験において医療機関や患者と製薬企業の架け橋となり、患者中心の臨床試験・臨床研究の在り方を追求して参ります。

広島大学 トランスレーショナルリサーチセンターについて

広島大学 トランスレーショナルリサーチセンターは2004年、広島大学霞地区で大学院研究科再編を行った際、医療系の各学部・各学科原医研すべての組織を巻き込み、研究科組成を「創生医科学専攻」と「展開医科学専攻」に分けました。この創生医科学専攻の研究内容が、トランスレーショナルリサーチ(TR)に相当します。トランスレーショナルリサーチセンター(TRC)は、本学におけるシーズの開発及び管理との一元的なパイプラインを確立することにより、関連機関と連携して橋渡し研究を推進するとともに、次世代の橋渡し研究を担う人材を育成することを主な目的としています。

【本件に関するお問い合わせ先】

イーピーエス株式会社 広報担当
E-mail:koho@eps.co.jp

※1
PMS:Post Marketing Surveillance(製造販売後調査)
※2
CRO:Contract Research Organization(医薬品開発業務受託機関)